みなさんはNR750というバイクをご存知ですか?1992年5月25日に本田技研工業から発売されたバイクで、当時の新車価格は520万円と非常に高価なバイクでした。
今回(2021年6月23日)、史上最高値の1002万円で落札された車体は1994年式で走行距離は255km。
スタート価格500万円から始まり、わずか2分ほどで1000万円を超えるテンポの良さだったそうです。体どんなバイクなのか気になりますね!
そこで今日はNR750がどんなバイクだったのかご紹介していきます。
ホンダ|NR750とは

ホンダNRは当初競技専用車両として開発されていましたが、1992年に市販化されました。”NR”というのは”New Racing”の略なんだそうです。
1978年の世界選手権ロードレースに初めてNR500で挑戦してから14年の歳月をかけて蓄積された技術やノウハウをもとに開発されました。
当時の750cc市販車の最速記録をいくつか樹立するほどの高性能なバイクで、1990年にはモーターショーでプロトタイプが発表され、1992年に520万円で発売。
日本国内での年間販売計画は300台でしたが、発売を目前にバブルが崩壊して納車前のキャンセルが相次ぎ、生産終了後数年経っても新車で買えるほどの在庫が出ることになりました。
そして2005年にすべての部品製造が終了し、NRは姿を消しています。
より詳細な車両概要はHONDA公式サイトを参照してください。
市販車世界初の楕円ピストン・エンジン

楕円ピストンエンジンは、ピストンの形状が真円ではなく楕円(正確には陸上トラックのような形)のレシプロエンジンです。
1970年代後半にWGPに復帰するために各種エンジン方式が検討され、当時のホンダは2ストロークに消極的で公害問題にも関心が高まっていた都合上、あえて4ストロークで戦う方針が立てられました。
しかし、4ストロークエンジンで2ストローク勢の高出力に対抗するためには、計算上2万回転が必要でした。その数値は、8気筒にすれば実現可能だったのですがWGPでは4気筒に制限があり、実現不可能と言われていました。
そんなとき、NR開発の総責任者である入交昭一郎は、信号機の形から楕円(実際は長円形)ピストンの着想を得て8気筒のパフォーマンスを4気筒で実現する新型エンジンの開発に踏み切ったという逸話が残されています。
長円は、ピストン面積に対する給排気バルブの面積比を大きく取ることができ、給排気効率が高いのが特徴です。しかし、ピストンの気密性の維持と加工が難しく量産には向かないという問題がありました。
そのため市販車両では長円形ではなく「正規楕円包絡線」とすることで課題を克服して量産することが可能になりました。
市場に出ているのは2台だけ!

販売計画300台という希少車種で現在中古車として出回っている車両はあるのだろうか?そう考えてグーバイクで検索してみました。
すると、2台引っかかって確認することができました。94年式 走行距離5302kmの車両が1490万円、そしてなんと92年式の新車!
1992年当時、馬力の自主規制があり日本仕様のNR750のパワーは77 ps/11,500 rpmでした。130 psということは海外仕様の車両がどこかに眠っていたということでしょうか?
一体どんな人が買うんでしょうね。走っていないから部品の摩耗は少ないでしょうが、2005年に部品供給は終わっているのでいつまで元気に乗り続けられるのか気なるところです。
兵庫県と大阪府のバイクショップでそれぞれ販売されています。気になる方は実車を見に行ってみてはいかがでしょうか?
今回のオークションで1002万円で落札された車両もそのうち市場に出回るのでしょうか?そのときにいくらで売りに出されるのかも気になりますね。